人間の証





「嫌だ…死にたくない。来るなぁ!化け…も、の-----」

ズバッという鋭い音と共に首と体が離れる。
首を失った体は崩れ、転がった首のカッと見開いた両眼が崩れた体を見つめている。
まるで死んだことが信じられないと言うように凝視している。

切り口からはダラダラと血が流れ出てくる。赤い赤い血がとどまることを知らぬように。

  

返り血を浴びた仮面をはずし、白金の髪を揺らして、いのは静かに呟いた。           
「化け物、か----------」

心を無にして人を殺める。が、あたたかく赤い血を浴びると気付く。あぁ、またあたしは人を殺したんだ、と。
死体に目をやれば、まだ赤い血が流れ出ている。



あたしはきっと本当に化け物だ。平然と人を殺していくのだから。
こんなにも醜い化け物が人であるはずがないでしょ?でも、もしもそうでないと言ってくれるなら確かめてみたい。
たまに自分の首をかっ切ってみたくなる。
あの死体のように。そぅしたらあたしからもあの赤い血が流れ出てきてくれるのだろうか?人間の証が。
あたたかくて、赤い血が。それとも。ドス黒くて汚い血が流れ出てしまうの?

 “確かめてみたいの。”

あたしはクナイを握りしめ、首にあて、そして……

「やめろ!!」

首をかっ切ろうとした瞬間、力強い声と同時に手が伸びてきて、あたしの手首を掴んだ。

「シカマル!」

あたしがこの任務に就く二日前に出掛けた彼。どうして此処にいるの?任務は終わったの??


「任務が早めに終わって、里に帰ってきたんだ。んで、火影様にお前が別の任務に一人で就いたって聞いたから、来てみたんだ。。。来てよかった」

「何で止めたのよ!あたしは確かめたかったのに!!自分が人間であることを…」


パシッ。「痛っ」クナイを持っていた手の甲を叩かれた。驚いて思わずクナイを落としてしまった。

「今痛いって思っただろ?人間だから感じられたんだろ??…お前は化け物なんかぢゃねぇょ」

そぅ言って、シカマルがあたしを抱きしめた。シカマルのぬくもりと心臓の音が伝わってくる。あたしの身体も熱くなって、心臓がドキドキする。あんたにも伝わってる??あたしの熱と鼓動。

。。。これが生きている人間の証なのだということを、信じてみてもぃぃですか?