ライバル?(2332GETキリリク小説)
高く結い上げられた金髪を揺らして、少し前を歩くいの。
「天気がいぃからお散歩行きたいvvどぅせシカマルは暇でしょ?」
なんて、いきなり家に押し掛けてこられたのは数分前。
今日は任務がないから家でのんびり寝ながら過ごそうかと思ってたのに。
思わず口をついて出たのは「めんどくせぇ」と言ういつもの口癖。
でも、そんな言葉は軽く流して、「サスケ君もお散歩好きだから会えるかもvv」
なんて意気揚々と俺を連れだした。
たしかに外は天気が良くて散歩に出掛けられて良かったかもしれない。
日の光も風も気持ちいい。
チョウジは親父さんと新しくできた食い物屋に行ったとかで二人だけだが、なんだか心地いい。
が、
「なぁにやってるんだってばよ!!」
と、耳障りな大声。
「ナルト!」
いのは振り返ってナルトを見ると目を丸くした。
「今日、あんた達は任務なの?」
「あぁ、そこの川のゴミ拾いだってばよ」
ナルトはうんざりというように言った。
「って、ことはサスケ君が居るのね!!」
うんざりしたナルトとは違って、それを聞いたいのは目を輝かせた。
そして、「サスケくぅ〜んvvv」と、あの高い声を出して川原へ行ってしまった。
それを追い掛けもせず、ポツンと残った俺とナルト。
だって、そんなのいつものことだから。
「あ〜あ、何でそんなにサスケがいいんだってばよ」
ナルトの言葉に“うんうん”と頷く。
「いのも、あんなやつやめて俺にすればいいのに…」
またナルトの言葉に頷こうとした俺だったが、思わず固まった。
「え?」
俺はナルトを凝視した。
「何だってばよ?俺がいのを好きなの意外だってばよ?」
俺は勢いよく頷いた。だって、コイツはサクラを好きなはず。。。
「たしかに前は俺もサクラちゃんのこと好きだったけど、それよりいのの方がいいって、気付いたんだってばよ★」
ナルトはそう言ってニシシと笑った。彼は得意のいたずらが成功したみたいに無邪気に笑っていた。
そして、「サクラちゃんを好きなふりしてればサスケとくっつかないようにって二人で色々作戦練ったりして一緒にいられるし」と続けた。
俺はなぜか、地面が崩れたような衝撃を受けた。
「う、そだろ…」
思わず口にすると、ナルトはきょとんとした。そして、じっと俺を見た。
「お前、いのを好きなのか?」
「え?」
ナルトの言葉に俺はまた数秒固まってしまった。
そしてやっと出た言葉は“え?”という間抜けなたった一文字。
そして、何だか慌てて、
「アイツは只の幼なじみだよ!」
と乱暴に言ってる自分がいた。ハ゛カみたいに。頬が熱くなるのを感じた。
「そんな、乱暴に言わなくてもいいってばよ!そっか、その方が俺もライバルが居なくていいってばよ」
またナルトは笑った。
いののように柔らかな白金ではない彼の鮮やかな金髪が、太陽に照らされて眩しい。
直視できない。
「じゃ、俺任務に戻るってばよ」
ナルトはヒラヒラと手を振って俺に背を向けて歩き出した。
が、数歩進むと立ち止まって、振り向かないまま言った。
「別にシカマルがライバルでもいいってばよ?負ける気しないから」
負けず嫌いでお調子者のナルト。
でも、その時のナルトの声は何だか低く静かで、いつもの彼とは違って見えた。
背筋に何かが走って、ゾクゾクした。
どうしてそうなんだ?
お調子者だと思ってたナルトが実は計算高い奴だったから?
それとも------------
いのを盗られるのが怖い?